期間工

体験記 工場マン物語

[工場マン物語 ]第4話:東京でリスタート!物語はここから始まるはず、、、だった

前回の話→[工場マン物語]第3話:自分のやりたい事とは?速攻で工場移動!?

「夢を掴むなら東京。」

自分でもなぜそう思うのか分からない。
きっと多くの人達がこの都会に憧れ夢を叶え、逆に散っていった者もいるだろう。

東京に行けばきっと新しい自分が見つかりお金持ちになるはずだ、、、
所持金1万5千円を握り締め俺は前を向く。

あぁ東京、、、大都会東京、、、スカイツリーに銀座、ギロッポンでスーシー、、、
テレビで見たようなあの光景が頭をよぎり夢が膨らむ。

滋賀から東京への道のりは早く感じた。
電車を乗り継ぎ憧れの東京へ向かう、、、

面接日の日に出発したので観光もせず急いで日野自動車工場のある場所へ向かう。
少し離れた場所にあるらしいが腐っても東京だ、きっとものすごい都会なんだろう、、、、
新宿で一度降りたがホームを降りることなくそのまま進む。

期待に胸を膨らまし、とうとう目的地の「羽村駅」に着く、、、

 

ん?

 

 

薄々は感じてはいた。
滋賀の工場を一度は経験している身だ。
工場のあるところが都会なわけなんてないのだ。
それが現実だ。

だが、滋賀の田舎で暮らしていたので
自分の中の期待感は半端なかっただけに心に衝撃が走った。

 

 

当たり前の事だが東京全部が都会なわけがない、
人の理想というのは恐ろしいものだ、、、

勝手に期待して勝手に落ち込む、、、俺の東京はそんな始まりだった。

なんとか気を取り直し説明会に向かう、寮が決まるまでスムーズに終わった。

初の期間工だったが特別なことはなく、同期の仲間たちと会話しリピーターの人間から情報をそれとなく聞き出した。

色々思うところはあったが、俺は住める場所を確保しただけでも安堵感はあった。

 

配属も無事に決まり仕事が始まった。
研修期間はもちろんあったが、現場では何の役にも立たなかった、、、

仕事はキツかった。
ダイハツの頃はボルトを6本締めるだけの作業だったので楽だったが、
日野自動車ではエンジン組み立てに配属になり作業が何倍にもなった。

最初の1、2週間は特に地獄だった。
慣れない工具に慣れない作業で仕事をするので当然だ。

 

正直に言えば最初の1週間で辞めてしまいたかった。
だが所持金1万5千円の俺は辞めるに辞めれなかった。

「最後のダイハツの給料が振り込まれたら辞めようかな、、、」そんな事を思いながら日々過ごしていた、、、

日野自動車に来て1ヶ月くらい経ってみると仕事は余裕になっていた。
さすがに毎日同じことしていたら大体慣れる。

その時には「辞めよう」とは考えはなくなり
「給料いくらくらいかな?」なんて事を作業中に考える余裕すらできていた。

そこから何もない仕事だけの日々がしばらく続いた。
そして俺にもとうとう生活に余裕ができ始めてきた。

部署の人たちとも仲良くなっていき、一緒に喫煙所になんかにいくようになった。
だがある日俺は気づいてしまうのだった、、

 

こいつらパチスロの話しかしねぇ、、、

 

そう、俺の部署はパチンカス比率かなり多めのところだったのだ、、、

寮の近くには悪魔の場所◯ハンがあった。
なぜそんな事知っていたのかだって?

パチ屋の場所は普通一番最初に調べるよね?(ド底辺)

だが俺はドリームをつかむために東京に来たのだ。
もう2度とそんな誘惑なんかに負けるわけがないのだ。

 

3ヶ月目の給料日、この月は給与と別に6万円の満了ボーナスが支給される月だった。
この時には財布が空っぽなんてことも無くなっていた。
やはり決意した男は一味違うものだ。

そんな固い決意を抱いている俺はいつも通り休憩所でパチスロの話を適当に受け流していた、
ある日毎度熱くパチスロについて語り、なぜか俺を頻繁に誘う期間工のNが今回も誘ってきた。

 

この子は今でも極刑にしてほしい。

パチスロ誘発罪とかないものか、、、、
だが固い決意を抱いた俺にそんな誘惑が効くはずもない。

もう3ヶ月近く行ってないし、完全に引退だ。
たまたま今回ボーナスが入っただけで、まだ借金の返済も残っている。
俺にまだそんな余裕はないし、夢を掴むために我慢が必要なんだよ、、、

そんな目先の快楽に騙されるお子ちゃまではない。
俺は大人になったのだ。

なのにこいつは人の気も知らないでアホみたいに誘いやがって、、、
ちょっとパチスロの話で盛り上がったってだけで、、、

 

こんにゃくの意思!

 

〜続く〜

続きはこちら→[工場マン物語]第5話:貯まらないお金。今までの自分と決別の時。